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「あ……えっと、そうですね。単純に話題のお店にウチの製品が使われるとなると─…社員は喜ぶのではないでしょうか?」
ここで動揺を見せてしまうのは良くないと瞬時に判断し…旺司くんと視線を交えることなく真っ直ぐに副社長の方だけを見て答えた。
「……そう。そうなんだよ!個人注文やインテリアメーカーからの依頼だと自分たちの作ったものが使われてるところを見るなんて不可能だけど…人気の飲食店舗で使って貰えると、社員たちもお店に行って製品を自分の目で見て確かめられるしね。やりがいも生まれると思う」
っと……私に聞くまでもなく、副社長の中では既に答えが出ていたみたいだった。
──なら、私に話しを振らないで欲しかった。
おそらく、背中を押して欲しかったのだろう。
「えぇっと……では改めて、納期のことについてのお話ですが、」
「大変、申し訳ありませんが…この話は無かったことに。」
「………はい?」
契約について前向きに話しを進めようと副社長がノリ気になった途端、手のひらを返し…帰り支度を始めた旺司くん。
この行動は予想外だったのか、隣にいたお連れの男性も焦りを見せる。
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