王子と女神の再愛白書

再会と悲劇

商談は午前中に行われるみたいで。

雇用についての詳しい話は午後、昼食をとりながら話そう…と言われた。

商談が行われる応接室に、うちの会社のことが先方によく分かるようにいくつかパンフレットや資料を並べておく。

そうしている間に約束の時間を迎えたようで、副社長が応接室に入ってきた。

「いま受付から連絡があって、こちらに向かってるみたいだ。…僕が若社長に流されてマズい契約をしてしまいそうになったら、遠慮なく口出しして止めてくれて構わないから！よろしく頼むよ」

なぜそこまで私を信頼しているのか些か不明だが…偉い人達の商談に口出しを出来るほど私も肝が据わっているわけではない。

とはいえ期待には応えたいという気持ちも勿論あるので、精一杯自分に出来ることを─…っと、一人意気込んでいるところに聞こえてきたノック音。

「…どうぞ」

副社長が扉の向こうに声を掛け、「失礼します」という声が聞こえた直後…応接室に複数の人が入ってくる。