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まず入ってきたのは、ウチの会社で働く受付業務のスタッフ。商談相手をここまで案内してきたのだろう。
次に入ってきたのは、白髪混じりの髪型に丸い猫背が特徴的な男性で…若社長と呼ぶには少しお年を召されているような印象を受けた。
そして最後に背の高い男性がもう一人入ってきたのを視界が捉えた瞬間─…思わず彼らに背を向けてしまった。
──…旺司くん、
見間違えるはずがない。彼のことを忘れた日など、本当に一日もないと胸を張って言えるほどに…日々思い、恋焦がれているのだから─…
どうか間違いであって欲しいと願う私の耳に、
「失礼します……初めまして、DiIn0で代表を務めております九条 旺司と申します。本日はお忙しいところ貴重なお時間を頂戴いたしまして…ありがとうございます。」
よく知った…変わらない、彼の低い声が聞こえてきて─…瞬時に泣きたくなった。
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