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このまま振り返ることなく、顔を合わせずに部屋を出て行ってしまいたい気持ちを押し殺し…背を向けたままお茶の用意をする。
背後で、名刺交換のやり取りなどが行われている中で度々聞こえてくる旺司くんの声に…心臓が抉られているような苦しい気持ちになる。
──酷いことを言って振ったのは、ワタシ。
数年振りに顔を合わせたからといって、あの時のことが無かったことになる訳では無い。少なくとも私はこの3年間ずっと…後悔していた。
もっと他にやり方があったのではないか、本当のことを話せば今でも一緒に居られたのでは…なんて。出てくるのはどれも自分都合の言い訳ばかりで、、
結局私は自分が傷つきたくなくて、彼を傷つけることを選んだのだ。今更…実はあの時、なんて言ったところで─…私が彼にしたことは、消えない。
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