三章

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星来はアレルヤの背中の黒い入れ墨のようなものと声を出すと無表情のアレルヤが苦しそうにしていた事を話した。 「なるほど。そうですね…見てしまったのならお話しましょう」 「実はレイヴン様、アレルヤ殿、クリス様は母親が違う異母兄弟なんです。」 「え!」 星来よりもクリスが反応した。何も聞かされてなかったのだろう、クリスはテレーゼの話しに興味を示す。 「レイヴンの母君は王族の方で政略結婚でした。とてもレイヴンに似て優しく慈愛に満ちた素晴らしい方とお聞きしております。私はまだ仕えておりませんでしたから詳しくは知りませんが」 (あの優しさは母親ゆずりなのね) 「クリス様の母君は絶世の美女と呼ばれ、少し強気で頼もしい方でした。私が若い頃はお世話になりましたね」 「レイヴンとクリスの母親は今、どうしてるんですか?」 「亡くなりました」 「母上は病気で療養中じゃないのか?」 クリスは動揺した テレーゼはあえてクリスを無視し話を続けた 「そしてアレルヤ殿の母君は…上級呪術師でした。呪術師とは私たち魔導師と相容れることのない、対極の存在です。呪いで暗殺などの生業にしている悪しき者たちですね」 (悪しき者たち…?) 「国王シュトッフェル様の暗殺を狙っていた一味にいた彼女を捕らえ、処刑予定でしたがシュトッフェル様が彼女の……その…身体が大変魅力的だそうで毎晩強制的に抱かれ…アレルヤ殿が産まれました」 「な…!」 (それってレ……) 「子を産んだ彼女は用済みとばかりに処刑され、亡くなりましたが……彼女はシュトッフェル様とシュトッフェル様の血が繋がったアレルヤ殿を憎み、アレルヤ殿に呪いをかけたのです」 「国王じゃなくて?私ならそっちやるんだけど!」 シュトッフェルの行為が許せない、星来。 「アレルヤ殿の背中のは呪いの刻印といいまして、術者の自らの命を捧げ、強力な呪術をかけるのですが、アレルヤ殿にかけた呪いは20歳の誕生日を迎えた時にアレルヤ殿の死…と、国の不幸です」
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