三章

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「アレルヤ殿は幼き頃から口枷をつけられ、幽閉されていました。10歳になるとクリス様の母君がアレルヤ殿を解放し、アレルヤ殿の世話を押し付けられた私は彼の魔導師の師匠となり育て、皆に慕われる立派な騎士団長になりました♪」 「魔導師じゃなくて騎士団長になるんですか?」 「アレルヤ殿は魔術と剣の才能がありましたが、騎士の道を選んだのです」 (テレーゼさんがアレルヤ様じゃなくてアレルヤ殿なのは師匠だからなんだ) 「なぜ喋れないのですか?」 「先程、20歳に死ぬ事と国の不幸の呪いだとお伝えしましたが、声を出すとアレルヤ殿の体が(むしば)まれるため、寿命の延命処置として口枷を付けさせたのですが…一部の者は声を出せば国が不幸になると思い込み、アレルヤ殿を迫害しました。喋らぬよう言い聞かせ、口枷が外れてからも呪いの事もありますが、迫害された事で心を閉ざされたのかもしれません」 「そんな……アレルヤは何も悪くないじゃない!」 「……迫害の中心人物はシュトッフェル様です。"魔物の子”などと罵声を浴びせ暴行を加えてましたからね。一部の者が信じてしまったんでしょうね…」 「自分の子でしょ!!最低よ!」 星来の中ではシュトッフェルの評価がかなり低くなった。 「国王はアレルヤを殺さなかったの?」 「国の不幸がアレルヤ殿の死と同時に発動する可能性があるため、幽閉になりました。…ただ20歳になり死を迎えれば国の不幸は免れないと考えたシュトッフェル様はレイヴン様を使ったのです」 「そこでなぜレイヴン?」 「レイヴン様を生贄にしアレルヤ殿の死と同時にレイヴン様の命を捧げることで不幸の呪いによる国の災いを防ごうとしました」 「レイヴンはそれでいいって言ったの?」 「意志を無視した強制的です。国王命令により先代の魔導師たちがレイヴン様にアレルヤ殿の呪いが移るよう、術をかけました。レイヴン様の背中にも…ある意味、呪いの刻印があります。」 「…レイヴンがアレルヤの言葉を理解してるのは呪いが関係してたの?……もしかして数年後には…」 「ええ。2人同時に亡くなります」 「……」 ショックで言葉がでない。星来よりも動揺していたのはクリスだ。 「嘘だ…父上がそんな…」 クリスは髪を何度もグシャグシャにした 「ボクの聞いた話と違う!…母上のこともだがアレルヤの事も…父上が兄達は低落な失敗作だから近寄るなって……ボクは……父上を信じていいのか……」 「クリス…」 テレーゼはクリスの様子をみて何か違和感を感じた。クリスではなく、シュトッフェルにだ。
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