三章

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「お兄ちゃん達と今まで接触なかったの?」 「ない。何かの式典などで会って話しかけられても、話さななかった、父上に駄目って言われたからな。星来が来てから初めて話したんだ」 「お兄ちゃん達と一緒に過ごしてどう思った?」 「レイヴンは優しくてボクが我儘言っても怒らないし気にかけてくれて尊敬できる兄だと思った。アレルヤは食いしん坊でボクの分まで取るが、気心許せるほど安心する兄で好きだ」 クリスはレイヴンとアレルヤの事を語ると愛しそうな優しい顔になった。 「レイヴンが前に私に"星来は星来の意志を大切にして”って言ってくれたんだ。クリス自身の意志を大切にしてみたら?」 「ボクの意志……わかった!星来、急用ができたから帰るぞ!」 走ってどこかへ行ってしまったクリス 「落ち着かない子ですね~」 テレーゼは別の意味で感心した。 「さて星来様」 「はい」 「呪いの件は内密に。それとアレルヤ殿の擁護するわけではありませんが、激しいキスをされ、恐怖を感じたと思いますがアレルヤ殿は喋れず星来様はこちらの文字がわからない。そんな状態で星来様への愛を伝える為のキスだったはずです」 「一応、言葉を発しましたが」 「きっとキスでは足りず、命を削ってでも愛を伝えたかったに違いありません!!」 テレーゼがまた興奮した。 (テレーゼさんにこんな一面が…) しはらく1人で妄想の世界に逝ったテレーゼにちょっと引いていた 「さて、星来様」 やっと落ちついたテレーゼは真剣な顔つきをする 「聖女の力ならレイヴン様とアレルヤ殿を助けられます」 「治癒の力でですか?」 「いえ。聖女伝説関連の文献には謎が多く、解明には時間がかかっています。しかし聖女には"浄化”の力があるとわかりました」 「浄化って汚れた物を綺麗にするやつですよね?」 「はい。浄化の力は魔物はもちろん、邪気も呪術師のどんな強力な呪いを消し去ることができます」 「治癒と浄化は違うんですか?村人は回復しましたよね?」 「治癒は怪我や病気を治すもので、浄化は目に見えないような穢れた悪い気を祓うのです。村人はただ一時的に体調が回復しただけでまたすぐ邪気で体調を崩すでしょう。邪気を払わない限りは…」 「そんな…じゃあ浄化の力を手に入れば2人を助けられるんですね!あと邪気に充てられたクリスも!」 「はい」 「そっか…頑張らないとね」 気合いが入る星来 「元の世界に戻る方法は難航していますが、王子の誰かと恋をされる道も考えてみませんか?」 「……恋か」
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