四章

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馬車に乗って中心部から近い村から国を1周する形で回る。 馬車には星来と隣にはクリス、向かいにはレイヴンが座った。 「忘れてた、クリスは病弱だったよね。治してあげる」 星来はクリスの手を両手で包むように握った 「うわ!ボクはいいんだぁぁっ!」 クリスは手を握られ真っ赤になり、恥ずかしそうにしていた 自分がグイグイするのはいいが相手からされるのは恥ずかしいらしい。 「おとなしくしてて」 目を瞑り、治癒の力を使うと 「きゃっ」 「星来!!」 まるで拒否するかのように弾け飛んだ。 馬車内の物音で外にいるテレーゼが慌てながら声をかけた 「どうされましたか!!」 「星来がクリスに治癒の力を使ったらクリスの体か邪気が拒絶するように弾けたんだ」 レイヴンが代わりに説明する 「なんですって!邪気は祓えずとも、病気は一時的に消えるはず……これは…」 「おい、さっきから邪気とはなんだ?」 「クリスは病気の原因聞いてないの?」 「ボクは父上から原因不明の病だと…」 「クリス、説明は後でするよ、まずは星来だよ。大丈夫?」  「うん」 レイヴンは怪我がないか確認する 村に着くと禍々しい空が広がっていた。 星来は祈るように手を組み、願うと星来の体が光り、天空に放たれた光は雪のように降った。 「これで大丈夫かな?」 星来は周りを見回す 「お疲れ様、少し休まない?」 「うん。気づかいありがとう」 小さく頷きながら照れるレイヴン 水分補給をし一息した 「一時的でも助かる命があるならって思ったけど、また苦しい思いするんだよね…」 「消えそうな命を救えただけでもやる価値あるって息巻いてただろ!」 ちょっとネガティブになった星来にクリスがすかさずツッコミをいれる。ホラッと近寄って来た村人に目を向けた 「そうですとも…聖女様がいなかったら我々は…」「生きる希望が湧きました」 「ありがとうございます」 「あーましゅ」 村人の少年が頭を下げお礼を伝えると隣にいた2〜3歳の女の子が真似をした。 誰かの役に立つのは嬉しいなとこの世界にきてから思うようになった。 村人に星来特製のミックスジュースを振る舞い、次の村へ向かった。
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