一章

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テレーゼは目を(つむ)り静かに語った。 「ハクローク国は数百年以上前に神が住んでいました。現在と同じように魔物たちが頻繁に現れるようなり、民が不安を訴えるようになった時、神は自身のお力を与え、代弁者である聖女を召喚しました」 「えっと…数百年以上前に私の世界からこの世界に来たんですか?神様って方はなぜ力を与えたんですか?神様なら魔物なんて簡単に倒せるんじゃないんですか?」 星来は疑問ばかりが浮かぶ。自身に関係があるかもしれないからだ。 「文献には記載がありませんのでわかりません。召喚された聖女様は神に与えられた力で魔物を(しず)めただけではなく、結界を張り、民の不安を消し去ったそうです」 「当時はまだ技術や研究の発展などが乏しかったのですが、時代と共に神の力以外で聖女の召喚ができるようになりました。…今の国の状況は数百年前の時と同じだと判断し、聖女様をお呼びしたのです」 「なぜ…私なんですか…私は力ない普通の人間ですよ?」 星来は不安が(よぎ)った、知らない他国の民よりも自分の不安を消してくれと。 「こちらに来る前に白い鹿を見ませんでしたか?」 「はい…」 白くて美しいメス鹿だ。 「あの鹿こそが神様なのです。神の姿を見れるのは聖女の資質があるからこそ。我々、魔導師は神の気配を察知しお呼びしました」 「神様は今はどうされているんですか?」 「我々、上位の魔導師なら神の力を察知する事はできますが、見えません。星来様なら神様の力を与えられているはずですから、今はまだ無理でもいずれわかるのではないでしょうか?」 「私に神様の力が…」 実感がないから疑わしく感じた星来 「私は何をすればいいんですか?」 「先程も伝えましたが、星来様には聖女として3つのことをお願いしたいのです」 「3つも…」 「1つ目は聖女の力で魔物を鎮めていただく事、2つ目は国民に支持を得て不安を消していただく事」 (なんか無茶ぶりな事言ってない?) 星来はもう頭が大混乱中だ 「そして最後の3つ目は…」
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