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E p i s o d e .1
思えば私は家族というものに強烈な憧れを抱いていた。
だって私が知る家族は物心ついた時から破綻していたのだから。幸せな家庭、普通の家庭、平凡な家庭。それらは一体どの世界線に転がっているのか、私はまだ分からない。
母が口酸っぱく"人様に迷惑をかけるな"と言っていた。人に迷惑をかけず、ひっそりと慎ましく生きていたのに、私は一体どこで間違ってしまったのだろう。
けれども私は、やっぱり"普通"の"幸せ"が欲しくて手を伸ばしている。
いくら伸ばせば届くのか、祈りはいつ叶うのか、その距離は果たして遠いのか、誰に聞けば教えてくれるのか。
人生は選択肢の繰り返しだと誰かが言った。
──……どうせ、一人で生きていけないのなら。
一緒に生きていく人くらい、自分で選びたい。
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