404人が本棚に入れています
本棚に追加
条件を出された。目的不明の条件だった。
「足りねぇ分は、しかたねえから女で許してやるよ、」
この部屋にいるのは三人で、女は私だけだった。だから、私のことを言われているのは理解出来た。でも、分からなかった。
「あ、ハイ!そっすね、どうぞ」
よく分からないけれど、ケンちゃんにとって今いちばん重要なのは、おじさんに許してもらえることだったらしい。
差し出された私は、その日初めて、ケンちゃんと二人で寝るために買ったこの布団の上で、初めて会った、名前も知らないおじさんに犯された。
嫌だ嫌だと泣き喚いた。うるさいと言って殴られた。痛くて、怖くて、抵抗するより受け入れる方がマシだと思った。血の味が口の中に広がった。足の間が痛くて、気持ち悪かった。
ケンちゃんはリビングにいるだけで助けることもしなかった。
それから月に一度の頻度でおじさんはやって来た。あのおじさんは、ケンちゃんのおじさんらしい。ちょっと怖いおじさんだけど、ケンちゃんが言うには、少し前にケンちゃんのお父さんが倒れて、手術の為にお金が必要になった時に助けてくれたのがあのおじさんらしい。
「すぐ、あおに頼りたかったけれど……あおに迷惑かけたくなくて……」
私のことを思って話せなかったと聞いて、ケンちゃんらしいと愛おしく思った。
最初のコメントを投稿しよう!