第四話 ひとり暮らし始

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第四話 ひとり暮らし始

立ち直り、本格的に一人暮らしをすることにした。 「ここはどこだ?」 「ここはね!静岡県の三島市だよ!」 「へぇー…」 タクシー代金は浮いたため、まだ貰った分のお金は全て残っている。 「お腹すいたね…」 「ここは三島駅。駅の中でなにか美味しくて安いところ、出来れば人がいて、情報収集出来る場所がいいね!」 「ラーメン屋さん?」 「らーめん?なにそれ?」 「知らないの?青龍!」 「うん…」 「駅を出て少ししたところに、麺屋ほっこりという場所があるらしいんだ。」 「じゃあそこにしようか!」 カランコロン 「いらっしゃい!」 優しそうな店主が出迎えてくれた。 とても美味しそうな匂いが漂う。色んなお客さんも知らない人どうしでも仲良く喋っていて、名前通りほっこりしていた。 「何にします?」 「オススメは?」 「やはり定番は味噌ですね!」 「じゃあそれを2つお願いします。」 「どうしてラーメン食べたことないの?」 「元々お母さんは僕に興味がなかったんだ。君を買ってくれたのもお父さんだし。水泳初めてから興味を持ってくれたけど、買い物とか外食とかもしたいと言っても怒られたんだ。だから、お母さんがいつも出す白米とサラダ以外は食べたことないなぁ。でも頑張った日にお母さんが出してくれた干し柿は美味しかったな…」 「そっか…じゃあこれから2人で美味しいものを沢山食べよう!」 「でもお金には限界があるんだ。」 「アルバイトする?」 「タクシーの運転手さんが言ってた高校がアルバイト禁止かもしれないよ?」 「その高校行かなければいいじゃん!お金もかかるし!」 「いや、行かなければならない気がするんだ!運転手さんは、僕たちの状況を分かって紹介したのかもしれないし!」 「ふぅーん…」 「はい、味噌ラーメンふたつ!オススメは、ラー油をかけるといいよ!少し辛くなるけどね!」 「ありがとうございます。」 ズルズルズル 「!?」 「どうです?」 「美味しいです!今まで食べてきた食べ物の中でとても美味しいです。暖かい…」 「よかった!」 その時、流れていたテレビがこの場を沈黙させた。 「静岡県三島市にある、紅霧山高校に在学中の生徒13人が、突如街中に現れた怪物を倒し、街を救ったとして、表彰されました。イエス・チャイルドを初めとした通称、帰宅部の部員たちは、表彰式中、式場を飛び出し、式場は終始騒然としていました。」 「ついに現れたんだねぇ」 隣のカウンター席で食べていた老夫婦が話していた。 「何か知っているんですか?」 青龍は、老夫婦に聞いた。 「あぁ、この辺りは、様々な才能を持つものがいるんじゃが、」 「才能?」 「ピアノが弾けるとか、早く走れるとかそんなんじゃなく、いわゆる、異能力じゃ。魔法のようなものだな。それを才能と呼ぶんじゃ。」 「な、なるほど……」 「ワシがまだ小学生くらいの頃だった。今回のような、怪物が街に現れたんじゃ。それは、その時代に封印されたんじゃが、封印中に怪物が力を何者かによって蓄えられ、封印を自ら解いたんじゃ。その時封印したのも、紅霧山高校の生徒たちじゃったな……」 「そうなんですか……」 「あっ!?」 パン太が、驚いたような声を上げた。 目線の先には、さっき渡された高校の名刺があった。
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