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慌てて、ココナッツの家まで飛んでいく。
集め屋さんの技術を駆使して、風のように、びゅうん、と彼女の家に侵入する。
あわわわごめん! と言いながら彼女に会いに行こうとして、ラズベリーは気が付いた。
気持ちよさそうに眠っている。ほんのりあったかく桃色に染まった白色……つまり、ストロベリー&ホワイトチョコレート色の、ココナッツが。ベッドの上で布団をかぶって、目を閉じたままぐっすりと寝ているのだ。
「………」
眠れたんだなあ、と、ラズベリーはちょっと残念な気持ちになりながら思った。
そりゃあ、夜通し眠れず悶々としていろなんてことは思わないけれど。100パーセント、遅れてきた自分が悪いのだけれど。
でも。
私がせっかく音を集めてきたのに。無駄足だったのかなあ、と。
そんなことも、思うのだ。
窓の外で、鳩がポッポポッポポーと鳴いている。朝だ。もう、起きる時間だ。
ラズベリーは自営業の集め屋さんだからいいけれど、ココナッツはまだ学生だ。あんまり寝こけていると、授業に遅刻してしまうに違いない。
うーん、と少し悩んだ末に。
ラズベリーは、『集め袋』の口を開けてみることに決めた。
目覚まし音楽代わりに、彼女にちょっと優しい音を聞かせてあげようか、と思ったのだ。
ブギョオオグガーチュンチュン!
ブオオーピカピカドンガラ!
ガチャガチャララルー!
サワサワビャルルーン!
ポンポコジャカジャンポンピロリ!
うぎゃああっ、と、ラズベリーは慌てて『集め袋』の口を押さえ込んだ。
考えなしに開けたから、集めた音が一斉に飛び出してきたのだ。
本来は一個ずつ出すはずのものを、いっぺんに出してしまったから、濁りに濁った大音量が響き渡る最悪の事態になってしまった。
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