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運命の変化集め
そこは樹里が小学4年生の時代であった。
一番最初に樹里が買った記念切手が口を開いた。
「樹里ちゃん。ここから自分の人生を変えてみたい?」
突然の記念切手の申し出に樹里は目をまん丸くして驚いた。
「え?……なんで?」
「だって樹里ちゃん、本当はピアニストになりたかったのでしょ?」
「そ、それはそうだけど……」
そう。
樹里はピアニストに憧れていた。
父親がバンドをしていたので音楽と触れ合う機会が多い環境にいたが、樹里はどちらかというと、クラッシックの音楽が好きだった。
その中でもピアノの音色に惹かれていた。
だから父親にピアノを習いたいと申し出たが父親はギターなら良いと、ピアノ教室へ行くこともピアニストになることも叶わなかった。
樹里は今でも日記に後悔の念を書くほどに、あの時、ピアノを習っていたら……と思っていた。
「じゃ、変えちゃえ!!」
その記念切手は大きく膨らみ樹里を包み込むと、樹里を……小学4年生にして過去の……『その』時代に放り投げてしまった。
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