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彼はリトの顔をのぞきこんで、そっと笑いかける。端正な顔に浮かんだ笑顔は、計算されたもののようにあまりに完璧なものだった。 アンセムの手のひらがリトの目元を覆い隠した。 一瞬で思考が止まる。腕を振り払うことも、赤い本を掴み続けることも、出来ない。身体中から力が抜けて、まぶたが落ちてくる。抗えない。底知れぬ暗闇にポイっと投げ込まれたように意識が遠のいていった。 「忘れてしまえば見てないのと一緒だから」
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