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小さな後悔の破片
「アンケートに答えていただいた方に、粗品をプレゼントしております」
釣り針に引っかかり、机に座ったのが良くなかった。ラップの買い忘れで肩を落とした瞬間、ラップの塔を見たら引っ張られるに決まっている。
まさか、こんな場面で、記憶の断片に出会うなんて。使いかけの鉛筆と、消しゴムが仲良く寄り添っていた時は後悔した。
だって、見るとどうしても思い出してしまう。ほんのり苦くて、じわりと胸を刺すあの記憶を――。
それは二十年前。私は当時、小学校四年生だった。
半端な時期に訪れた、転校生の登場が始まりだった。
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