ずるいよ、先生。

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 実のところ、私は高校生活四年目だ。高二を二回やっている。そして、四月二日生まれだから学年いち早く年を取るため、私、相田 汐音(あいだ しおん)は高三の今、すでに十九歳なのだ。    高二の冬。私は、母親が運転する車の助手席に乗っていた。その日は、気温が低くて路面はブラックアイスバーンというやつだった。  急に道路に飛び出してきた猫をよけて、車はスリップ。対向車線にスピンして、電柱に激突。  それは一瞬の出来事だったのに、視界に飛び込んできた映像は、よく巷で言われているようにスローモーションだった。  その後は尋常じゃない痛みと、凍えるような寒さ、それから遠くの方で私の名前を呼ぶママの声。  目覚めたのは病院のベッドの上で、内臓の損傷と骨盤の骨折で、緊急の手術がされた後だった。  やっぱり体のあちこちが痛くて、新しくできた(きず)も息をするだけで痛かった。  主治医の先生には、対向車に車がいなくて幸だったねと言われた。それから、シートベルトに命救われたねとも。  私の胸には、シートベルトで出来た痕がくっきりと残っていた。まぁ、そのせいでの内臓の損傷もあるのだけど、命が救われたのは事実だ。  運転席のママは軽傷だった。入院中、顔を合わせるたびにママは「ごめんね、ごめんね」と泣いた。  ママのせいではないのに……ましてや猫のせいでも……。  誰も悪くない。わかってる。  これは事故なんだ……。  でも、でもさ……何で私がこんな目に?  神様、私が何か悪いことでもしましたか?
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