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ルシアは、侍女たちに話を聞こうとしたが、口止めをされているらしく何も聞けなかった。
「父上、セリーナ様は何か事情がおありなのですか?」
ルシアは、父が仕事から帰ると早速質問をした。父は、上着を執事に預けながら、戸惑いの顔を見せる。
「私が、お仕えすることになったのもそれに関係があるのですか?」
父は、難しい顔をすると、執事を見た。
「食事は、少し後にしてくれるか」
「畏まりました」
父は、ルシアを見た。
「ルシア、部屋で話そう」
「はい」
父は、セリーナが誘拐された事、その際に侍女が怪我をしたこと、そして王家の名誉の為にそれらが秘密にされていた事を話した。
「最初に話さなかったのは、守秘義務があったからだ。すまなかったな」
「どうして、教えて下さったのですか」
「お前が、真の騎士になろうとしているからだ」
ルシアは、黙っていた。
「主をおもいやる気持ち、お前にはそれがある」
「父上……」
「国王陛下は、セリーナ様が元の明るさを取り戻して欲しいと、お前を話し相手に所望されたのだ。それをきっかけに、何か、セリーナ様に変化があればと、期待されての事だ」
「そうでしたか」
「セリーナ様は、少しずつ明るさを取り戻されているとかで、陛下は、いたくお喜びだ。お前は、しっかりと任務を果たしている様だな」
ルシアは、嬉しく微笑んだ。
「父上、私は、もっと騎士になります」
「うむ、お前はもう、騎士そのものだ」
「それだけでなく、そうです! 騎士を増やします! 騎士団を作るのです!」
「え?」
「男の騎士がたくさん周りにいるとセリーナ様も怯えられると思うので、女の騎士団を作るのです!」
「ん? 何を言いだすんだお前」
「一人ではダメなのです。沢山の騎士で守らないとセリーナ様は安心できないと思うのです」
「お前……」
「だから女の騎士団を作るのです! 父上、陛下にお願いして下さい!」
「う、うむう……。まあ、やってみよう。陛下がどう判断されるかは分からないが……」
「お願いします!」
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