7.舞踏会

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 王宮の大広間に多くの紳士淑女が入って行く。  警護に白百合騎士団はいない。  控えの間で、青いドレス姿のセリーナは震えていた。 「ダメです。無理です。あんな、人が一杯いる所に出て行けません!」 「セリーナ、いい加減にしないか」  父王が、呆れた様に言った。 「ダメなものはダメです! 今からでも、白百合騎士団を呼んでください! でないと私……!」 「セリーナ」  王妃が、セリーナを見つめた。 「御祖父様がどうして亡くなったか、覚えてる?」 「え?」  セリーナは、きょとんとなる。 「流行り病で……。もうお年でしたし、仕方がないかと……」 「そうよね。どんなに身体を守っても、人間、死ぬ時は死ぬわ」  母の言葉にセリーナは黙り込んだ。  母は、セリーナの両手を自分の両手で包み込んだ。 「まだ小さかったあなたに怖い思いをさせた。それについては申し訳なく思っている。死んでも償いきれない」 「お母様……」 「でも、永遠に安全な場所などない。白百合騎士団がいようがいなかろうが、あなたは一人で立たねばならない。その時が来たのよ」  ――”セリーナ様は今も堂々としていらっしゃるではないですか”。  セリーナの脳裏に、ルシアの言葉が蘇った。  その時が来たのだ。  セリーナは胸を張った。  父王がセリーナに手を差し出した。  セリーナは、自分の手を軽く乗せた。エスコートに従って歩き始める。  控えの間を出て、大広間へ入った。    
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