練習は大波乱

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練習は大波乱

今日から、運動会の練習が始まる。 一、二時限目に出場競技を決めて午後から練習だから、今日だけは早く来る必要はないけれど、気を引き締めるためだと早起きしてきた。 出場競技決めと言っても、学年の代表者が走る団対抗リレーと、大縄の縄回しだけは既に前の体育の授業で決まっているから、そんなに時間はかからない。 リレーも大縄の縄回しも、やっぱり大音くんが抜擢されていて、舞ちゃんもリレーで走るから応援も頑張らないと。 運動神経の悪い私は、朝からしっかり練習をして、せめて運動会本番でみんなの足を引っ張らないようにしないと、もちろん勉強も頑張るつもりだ。 一年生の時は、少し失敗して足を引っ張ってしまったけれど、今年は絶対に失敗しない。 二年一組が優勝できますようにと、真っ赤なハチマキを握りしめる。 黒板の前に貼り出された競技の表を眺め、そんなことを考えていると、教室の扉を勢いよく開けながら入って来た人物に、私は目を大きく見開いた。 「小宮さん、おはよう。朝から早いなぁ」 大音くんだ、早起きは三文の得って習ったばかりのことわざが身に沁みる。教室で大音くんとまさかの二人きり、どきどきしないわけがない。 「大音くん、おはよう。大音くんも早いね」 大音くんは重そうな鞄をドサリと置くと、挨拶を返すだけで精一杯の私に話しかけて来る。大音くんは、応援団員ではないから、こんなに早く来る必要はないはずだけど、どうしたのだろう。 「小宮さんは、出る競技決めたの?」 「ううん、私はなるべく、みんなの足を引っ張らない競技がいいかなって……あ」 つい考えていたことを口にしてしまい慌てるが、大音くんは気にした様子もなく、笑って見せる。 うう、その笑顔が眩しくてなんだか浄化されそうです。私が悪霊ってわけじゃないけれど。 「俺はリレーと大縄の縄回しがあるから、午前中の競技の方がいいかな」 「やっぱりリレー出るんだ。大音くん、足速いもんね。大変だろうけど、頑張って」 「ありがとう。小宮さんも、頑張ろうな。……足引っ張らないって競技だと、障害物かな。練習でミスを減らせば、足の速さはあまり関係ないし」 「ありがとう、大音くん。障害物、希望してみるね」 大音くんのありがたいアドバイスに、首をコクリコクリと縦に振って頷くと、彼はその様子にまた笑う。
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