0人が本棚に入れています
本棚に追加
嗚呼!
運命だったはずなんだ。
僕は彼女の書いた本に出会った。
彼女は趣味で小説を書いていた。
夢を見て自費出版した彼女。
たった数冊だけ店頭に並べてもらえるらしい。
僕はそのたった数冊を購入したんだ。
僕は趣味で小説を書いている。
自費出版を夢見たこともある。
だから彼女の勇気が痛い程わかる。
僕は彼女の本を読んで打ちのめされた。
眩しい程光輝く才能に。
真っ黒になる程濃度の濃い努力に。
たった一冊の本で僕は彼女を愛してしまった。
彼女にファンレターを送った。
一文字一文字、心を込めて。
彼女と『小説家として』会い始めた。
夢のような時間だった。
まさに蜜月だった。
ある日突然、彼女に言われた。
『二冊目を貴方に読んでほしい』と。
僕は嬉しかった。
『書き上がったから取りに来て』と連絡があった。
なあ、嘘だろ?
僕達の出会いは運命だったはずだろ?
君の二作目が『遺書』だったなんて。
『貴方に出会えてよかった』って?
心配しないで。
僕もすぐそっちに行くよ。
嗚呼!
君の書いた小説が読めないこんな世の中なんて!
最初のコメントを投稿しよう!