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第一章 もう一人の私との出会い
森本瑠璃(るり)29歳。やっと過干渉の親から来月逃げられると思ったのに、10年付き合ってた誠実な彼の正体に今更気がつくなんて⋯⋯。
着陸が23時を過ぎると、タクシーで家まで送って貰える。私の家の門限は20時。仕事帰りだから許される真夜中の風景を窓越しにただ見つめていた。 私は大学卒業後、大手航空会社TKLのCAになった。空の安全を守り、ホスピタリティーを追求したいという志望理由は私の真実を隠す隠れ蓑となっている。過度な親からの過干渉を逃れる為にCAになった。
私の父親は有名な学者で、私がCAになるのも反対した。
父は私にも学者の道を志して欲しいと思っていたのだ。
父には私の思惑が露見していたのであろう。父は私にGPSを持たせシフトを毎月提出させた。
その上、国内限定ならという条件で入社を許可した。
国際線資格を取らない私は職制からも首を傾げられた。
私の家の異常な状況を知らない人間には説明しても分からない。私が、ただ一人この恥ずべき秘密を明かしたのは来月結婚する婚約者である冴島傑(すぐる)だけだ。
「ラブホ街を抜けるんですか?」
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