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エントランスの近くで足を止めて振り返れば、少し後ろを歩いていたみぃも同じように足を止めた。 地面を見つめるように俯いたまま、みぃは小さな手をこちらに伸ばし、俺の服を控えめにキュッと掴む。 「…家に、上がりませんか」 そして、手と同じくらいに震えている声でそう言った。 俺だって帰りたくない。 でも、今二人きりになんかなったら絶対我慢できない。話さなきゃいけない事があるのにそれを放棄して触れてしまうだろう。 …そんなの絶対ダメだ。 とにかく静かなところに移動して、ちゃんと話すのが先だ。 「…それは、やめとく」 「……」 「あのさ、みぃ」 「っやだ…!」 どこかカフェにでも入って話すことを提案しようとしたら、みぃはいきなり悲痛な声を出した。 「っ私…別れたくない…っ」 「…え?」 俺を見上げるみぃの瞳にぶわっと涙が込み上げてくるのがはっきりと見えて、ギョッと目を見開く。 「っちょ、みぃ」 「好き…っ、空大が好きっ…」 慌てふためく俺を他所に、ついにみぃはわんわんと泣き出してしまった。 熱烈な告白を受けて喜びたいところだけれど、そうもいかない。何しろここは外だ。行き交う人々が怪訝な眼差しを俺たちに向けているのが痛いほど分かる。 「みぃ、来て」 「っうぅ…」 泣き(じゃく)るみぃの腕を掴み、足早にエントランスを抜ける。 階段を駆け上がり、まるで逃げ込むようにみぃの部屋の中へと急いだ。
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