330人が本棚に入れています
本棚に追加
美沙の後ろに着いて行くこと20分ほどで、お目当てのカフェに到着した。
英語がズラリと並んでいる店名は何度聞いても覚えられないし、口に出そうとすると必ず噛んでしまうだろう。
「どう?念願のカステラのお味は」
そんな店名にぴったりと合うようなオシャレな空間で、私は、念願のスイーツを頬張っていた。
そのスイーツは“台湾カステラ”というらしく、SNSで頻繁に流れてくるそれをずっと食べてみたいと思っていた。
東京を観光しに行くと美沙に伝えた時に、じゃあ2人でランチしようよという話になり、どこか行きたい店とかある?と尋ねられて、即答したのがこの店だった。
どうしてもこの台湾カステラが食べたくて食べたくて。
向かいで「どう?」と首を傾げる美沙に、「おいひい……!」と感動のあまり、口の中のカステラを飲み込む前に返答してしまった。
お行儀が悪いのは百も承知だけれど、それほど美味しさに感激していたということで、今回は許してほしい。
プルプル、ふわふわ、しゅわしゅわ、すべての食感が合わさっているような、そんな食感だった。
イチゴと生クリームがサンドされていて、粉砂糖で綺麗にお化粧もしているそれは、見た目も可愛ければ味も最高に美味しくて、頬が緩みっぱなしだ。
「ほんっとに寧々って美味しそうに食べるよね~」
「ふふ。食べることが生きがいなので」
感心したように頷く美沙に、笑顔を零しながらそう返す。
可愛いヤツめ、そんな言葉が返ってきたけれど、どう見ても美沙の方が容姿は優れているので、それは私の台詞だよ、と返せば、私は綺麗系だから、とドヤ顔をお見舞された。
確かに、美沙は可愛いというよりも、綺麗系だ。
最初のコメントを投稿しよう!