1:出来損ないシンデレラ

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美沙の後ろに着いて行くこと20分ほどで、お目当てのカフェに到着した。 英語がズラリと並んでいる店名は何度聞いても覚えられないし、口に出そうとすると必ず噛んでしまうだろう。 「どう?念願のカステラのお味は」 そんな店名にぴったりと合うようなオシャレな空間で、私は、念願のスイーツを頬張っていた。 そのスイーツは“台湾カステラ”というらしく、SNSで頻繁に流れてくるそれをずっと食べてみたいと思っていた。 東京を観光しに行くと美沙に伝えた時に、じゃあ2人でランチしようよという話になり、どこか行きたい店とかある?と尋ねられて、即答したのがこの店だった。 どうしてもこの台湾カステラが食べたくて食べたくて。 向かいで「どう?」と首を傾げる美沙に、「おいひい……!」と感動のあまり、口の中のカステラを飲み込む前に返答してしまった。 お行儀が悪いのは百も承知だけれど、それほど美味しさに感激していたということで、今回は許してほしい。 プルプル、ふわふわ、しゅわしゅわ、すべての食感が合わさっているような、そんな食感だった。 イチゴと生クリームがサンドされていて、粉砂糖で綺麗にお化粧もしているそれは、見た目も可愛ければ味も最高に美味しくて、頬が緩みっぱなしだ。 「ほんっとに寧々って美味しそうに食べるよね~」 「ふふ。食べることが生きがいなので」 感心したように頷く美沙に、笑顔を零しながらそう返す。 可愛いヤツめ、そんな言葉が返ってきたけれど、どう見ても美沙の方が容姿は優れているので、それは私の台詞だよ、と返せば、私は綺麗系だから、とドヤ顔をお見舞された。 確かに、美沙は可愛いというよりも、綺麗系だ。
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