162人が本棚に入れています
本棚に追加
「え、ほんとに?」
「ほんとほんと。なんかバイト先の後輩がずっと合コンしようって誘ってきててさ~。しかもその後輩、イメケンだから期待していーよ」
「っえ、やだ!」
言い終わりにウインクまでつけたっていうのに、光の速さで首を横に振られて、ギョッと目を見開く。
「はぁ!?なんで!」
「だって朱架の知り合いとか、絶対もう朱架とヤッてるじゃん!」
「…ちょっと待って。あたしが誰彼構わず手ぇ出してるみたいな言い方すんのやめてくんない?」
「実際そうじゃんかぁ〜〜」
「いやいや、これでもちゃぁーんと相手は選んでますから」
「えぇ〜〜ほんとにぃ?」
「ほんとほんと」
派手な見た目からか一見 誰とでも関係を持っていそうに見られるけれど、あたしにだってしっかり自分の中で掲げている“条件”ってもんがある。
まあ条件って言っても絶対イケメン!とか、身近なところは絶対いかない!とか、後腐れないタイプがいい!とか。
精々そのくらいのもんだけど、決して誰彼構わずいっているわけではない。相手は一応 選んでいる。そこは勘違いされたら困るポイントだから、ぴしゃりと言い切った。
それでもまだジトリと疑いの目を向けてくるルナに、コホン、咳払いをする。
「とりあえず、バイト先のその後輩くんには手ぇ出てないから安心して?」
「ん〜〜……でも私、合コンはちょっと……」
「ちょっとじゃない!あたしの相手にイケメン連れてきてって頼んだから、もう決定なの!来週の土曜日、予定開けといてね!」
有無を言わさぬ勢いでそう詰め寄れば、ルナはあまり気乗りしなさそうな面持ちだったけれど、最終的にこくりと小さく頷いた。
にんまりと頬を持ち上げる。
「そうこなくっちゃ」
恋愛ごときで傷ついたり泣いたり、そんな無駄な時間を過ごすよりも、イケメンと楽しんだ方がずっと有意義でしょう?そんなの、火を見るより明らかだ。
人生は一度きり。時間は有限。
だから一分一秒でも長く、楽しみたい。
それがモットーのあたしは、数日後に迫ったその合コンの日に、胸を躍らせるばかりだった。
最初のコメントを投稿しよう!