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そうして迎えた合コン当日。
「あっ!朱架さん!」
指定された居酒屋の前。ブンブンと手を振るのはバイト先の後輩である、エージくん。
エージくんはこの近くの大学に通う1年生。あたし達は3年生だから、つまり2つ年下という事になる。
「場所分かりました?」
ミルクティー色のふわふわの髪を揺らしてこてんと首を傾げるエージくんは今日も今日とて可愛らしい笑顔で微笑むから、つられて頬が緩んでしまう。
クリっとした二重の瞳、ぷっくりした唇、白い肌。中性的で可愛らしい感じの顔立ちはあまり好みじゃないけれど、エージくんなら許せる。
ほんと、同じバイト先じゃなかったら1回シてみたかったなぁ。
「うん、大丈夫。すぐ分かったよ」
なんて、そんな下品な事を頭の隅で考えながらもにっこりと頬を持ち上げたあたしにエージくんは「じゃあ良かったです」と笑顔を返してから、すぐに隣に立つルナに視線を移した。
「初めまして。俺、朱架さんのバイト仲間のエージって言います」
「っ初めまして!ルナです」
「あ、俺のほうの連れも紹介しますね」
お互いにぺこりと頭を下げたあと、エージくんはちらりと後方を振り返る。その数メートル先で煙草を吸っているひとりの男に「おーい」と声を掛けた。
こっちこっち、と手招かれるままに此方に歩いてきたその男を見て、つい無意識に、喉がごくりと上下してしまった。
……ちょっと待って、何この子。
……超絶男前じゃない?
雑誌から飛び出てきたの?って聞きたくなるほどにはスタイル抜群だ。
すらりと伸びた手足に、小さな顔。色白なエージ君よりも白くて、トップがくしゅくしゅにセットされているその髪型も最高!よく似合ってる!と褒め称えてあげたくなる。
「初めまして、ウミです」
しかも声まで良いって、何事?
「ウミ、くん?」
「はい。小松 海望です。えー…と確か、朱架さん、ですよね?」
「あ、はい」
確かにイケメン連れてきてね!と頼んではいたけれど、まさかこんなにズバ抜けたイケメンが来るとは思ってもみなかったから、驚きを一周回ってやけに冷静になってしまって、スンとした表情で頷くしかできなかった。
海望と名乗ったその男は、少しだけ口角を持ち上げて、笑う。
笑った顔も可愛いし、何より歯並びも良い。そこもポイントが高かった。
凍てつくような風に少しだけ身を震わせ、首に巻いていたマフラーに口元を埋めるようにした海望くんは、ちらりと店を一瞥してから、ゆるく首を傾げる。
「寒いし、とりあえず中、入ります?」
……この子、何をしてもちょっとエロいんだけど、なんで?
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