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ところが。そのニュースを見て、娘が真っ青な顔で固まっているのである。彼女は慌てたようにスマホを取り出すと、何かを検索して“やっぱり”と呟いた。
「お母さん。今の、ニュースなんだけど。……私、今日ネットで同じニュース見たの。ネットではもうちょっと詳しく書いてあってね。死んじゃった人達の死体ってみんな、手足の爪がなくなってたんだって」
「え、爪?なんで?」
「誰かがはぎ取ってったからだよ。何の為かは知らないけど、でも、あの」
やっと違和感に気付いたの、と。真理愛は凍り付いた顔で、私に言ったのだった。
「お母さんの持ってる、アクセサリー。あれ、本当に……貝殻なの?あたし、なんか変だなって思ってて、でも今思い出したらやっぱり……人の、つ、爪みたいに、しか……」
その後。
私は自分が大事に集めてきた“貝殻アクセサリーコレクション”を再度確認して――そのまま、洗面所に駆け込むことになるのだ。
私はずっと、貝殻だと思っていた。そうにしか見えていなかった。でも、改めてよく見ると、“何で見間違えたんだろう”としか思えない形状をしていたのである。
ピンク色で、縦に線が入っていて、さきっぽだけが少し白くて――根元にはわずかに血らしきものが付着していて。何故私はこれを、綺麗な貝殻のアクセサリーだなんて思い込んでいたのか。
当然だが、それを持って警察に駆け込んで、すぐに大きな騒動になったのは言うまでもない。
屋台だったのでレシートは持っていなかったが、“占い師シャーリーのアクセサリー店”のチラシは残っていた。それを見せて調べて貰ったが、住所として書かれた場所はただの空き地だったと言われてしまった。
さらには――私がお祭りの時、あの屋台の前にいた時もそう。
娘には一度も、あの店の姿が見えたことがないという。いつも、何もないところに立っている私が、いつの間にかアクセサリーを手にして笑っているようにしか見えなくて不気味だったというのだ。
一体誰が、あのような不気味なアクセサリーを作って売っていたのか。
死んだ男女と、占い師の女性の正体はなんだったのか。
いずれにせよ。
魅了された人間にしか見えない屋台を経営していた時点で――人間の仕業だったとは、到底思えないのである。
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