4人が本棚に入れています
本棚に追加
かいがら、かいがら。
数年前にあった、本当に怖い話を聞いて欲しい。
結局アレが何だったのか、答えは一切見つからない。神社やお寺で相談したこともあったけれど、“忘れた方がいい”の一点張りだった。世の中には、知らない方がいいこともたくさんあるのだから、と。
思い出すと今でも吐き気がこみ上げてくる。
正直、今このブログに文章を打ちこむ手も震えているから、変な打ち間違いとか誤字とかも多いかもしれない。ていうか、そういうものを見返す余裕もない。
それでもいい、という人はこの先を読んで欲しい。
私達が暮らす町には、年に二回大きなお祭りがある。
お祭りの名前は伏せさせてほしい。身バレが怖いのもそうだが、多分お祭り自体に問題があったわけじゃないし、それを明かしたところで意味はないと思われるので。
神社から、駅前の道まで。ずーっと続く長い道を全部歩行者天国にして、御神輿を出したり屋台を並べたりするオーソドックスなお祭りだ。私は結婚した後も実家からさほど離れていないマンションに住んでいたので、春と秋の二度のお祭りは大人になってからも参加していたのだった。
まあ参加するといっても、ラフな服装で小銭を持って、屋台巡りをするのが精々ではあるけれど。
「ママ、ママ、ママ!あれやりたい、てっぽーやりたい、やりたーい!くじびきも、やりたい!」
「はいはい」
私達には娘が一人いて、この子の名前は――仮に真理愛とでもしておくことにしよう。
真理愛は、小さな頃から本当にお転婆な女の子だった。良く言えば活発、悪く言えば落ち着きがない。幼稚園の時から、喧嘩をするたび泣かされるのではなく、男の子を泣かせる側だったと言っておく。
鬼ごっこが大好き、体を動かすゲームが大好き。
そんな彼女はお祭りにおいても、射的やくじ引き、スーパーボールすくいといったゲーム的な屋台を好んだのだった。特に、射的には相当ハマっていたらしく、お祭りの屋台で射的を見つけると必ずすっとんでいったのである。
「きょうは、トッポとる!とるよ!」
「はいはい。落ち着いて狙いなさいよねー」
「うん!」
問題行動も多い娘だったが、年を取ってからやっと恵まれた子宝ということもあり、私も夫も真理愛が可愛くてしょうがなかった。
お祭りの日は少しだけ多めに我儘を聞いていたように思う。彼女が真剣にゲームに興じる様を見るのも、景品を取れて喜んでいるのも、見れば見るほど微笑ましい光景であったものだから。
最初のコメントを投稿しよう!