始まる前から終わっています!

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「弟たちよ。……今から、私は大切な話をせねばならない」  テーブルの上に肘をついて、いざゲンドウポーズ。  真正面に座る弟二人は、不安げに顔を見合わせた。  本当はこんなこと言いたくない。ただでさえ突然両親に無茶振りをされて困っているはずなのだ。自分はかろうじて成人しているが、あとの二人はまだ学生。一番下の三男に至ってはまだ中学生なのだ。正直、途方に暮れていると言うのが本当のところだろう。  それでも言わなければいけない。  このままでは、自分達兄弟は揃って路頭に迷うことになってしまうのだから。 「親父殿の話は、理解しているな?これから我々が何をしなければならないのかも」 「う、うん」 「まあ、一応ですが」 「計画を実行するためには、どうしても必要なものがある。……金だ。だが」  自分達は家を出て、それぞれやるべきことをなさなければいけない。  だが最大の問題は、この中で社会人として働いているのが長兄である私一人だということだ。つまり。 「金がない」 「は?」 「だから、金がないんだ。……私もそりゃ働いてたけどな?収入は家にほぼまるっと入れてたけどな?……父さんと母さんがギャンブルで作りまくった借金を返すだけで手いっぱいだったんだ……」 「は、はあああああああああああああああああああああああ!?」  弟二人の声がハモった。  彼らも理解したのだろう。自分達三人が、突然家を追い出されることになったわけ。いきなり独り立ちしろ、なんて無茶振りをされたわけ。  それがまさかの、借金で息子たちを養えなくなったから!なんてどうして思うんだろう? 「い、いやいやいやいや、それなら兄さんまで追い出したら駄目だよね!?あの人達何考えてんの!?」  次男が実に真っ当なツッコミをする。まさにその通り。ギャンブル中毒でろくすっぽ働いていない彼らの収入源、ほぼ私一人だったはずなのだから。でも。 「何も考えてないんじゃないか?馬鹿だから」 「そ、そんな兄さん、身もふたもない……」 「いや、もういいですよ兄さん、お馬鹿さんたちのことはほっときましょう。それより、我々に資金がないことが問題です。これからどうするんですか?このホテルに泊まるお金も底をつきかけてますよね?」  あっさりと両親をお馬鹿さんたち、で切り捨てる三男。潔くて大変すばらしい。  私は頷くと、彼らに言った。 「まずはお金を集めるところから始めなければいけない。アルバイトかつ、親戚中を回ってお金を貸してもらうのだ。我々の未来がかかっている……行くぞ!」
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