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汀さんは、優しい姉さんと同様に陽だまりを具現化したような人だった。姉だけではなく俺のことも気にかけてくれ、人生相談にのってくれたり時には施しを与えてくれたり。 俺は、そんな優しい汀さんが大好きで。それこそ、俺の中でも、大きな存在になっていったのだ。心の拠り所だった。 葬式は滞りなく終わった。突然のことに何も出来ず佇むことしかできなかった俺の側に、汀さんは一緒に居てくれた。 「紫苑くん」 「---はい」 「今日は、一緒に居ようか」 「はい」 喪った者同士の、欠陥を埋める時間。それが俺にも、汀さんにもきっと必要だった。 「紫苑くんと司の顔は良く似てるから。紫苑くんさえ良ければ、一緒に思い出に更けたいな」 「俺の顔で良ければ、いくらでも汀さんに貸しますよ」 「---ありがとう、紫苑くん」 浸るように抱きしめられた温もりは、どこか悲しい音をともなっていた。
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