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それから、浴びるように体内にアルコールを摂取していく汀さん。感傷と現実逃避の狭間で瞳の水分量が多いその眼差しと、視線があった。 その瞳が、---俺を捉えた。 「…司?」 彼の目には、俺が姉さんに見えているのだろう。俺と姉さんは顔が瓜二つだった。身長と髪型を除けば、同じものを持っていたのだ。 「---司」 噛み締めるように呼ばれた名前。自分の音ではない響き。 アルコールに酩酊した視界と思考で汀さんが捉える俺は、最早“有田司”だった。それでもよかった。優しい貴方に、何か自分の存在が価値のあるものに見えているのなら、それでよかった。 それから、---音もなく、唇が重なった。 啄むように、角度を変えて、求めるように。差し込まれた舌先からは、度の強い不快感を煽るアルコールだけが共有されていく。 …それでも、よかった。 ---やっと、俺は、貴方に。
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