135人が本棚に入れています
本棚に追加
出発当日、俺は別の意味で心臓がバクバクだった。
やばい、いつ渡す?
もうすぐ新幹線は来るし。
駅のホームで有咲さんとベンチに座って手を繋ぎながら話していた。
てか、こんなムードない所でプロポーズとかまじか俺。
自分の仕出かしたことが段々やばいものなのではと自覚が出てきて青ざめてくる。
ベタに綺麗な夜景の見えるレストランとか、赤い薔薇とかそんなことして見たかった。
だけど、現実は駅のホーム、出発前。
バカか俺!
他愛のない話をしてたけど、有咲さんが笑顔をだんだん消えさせていた。
「あー、やだ。寂しい。」
そう言いながら顔を手で覆い隠している。
ちゃんと寂しいって伝えてくれてる。
俺も寂しいのは同じだけど、それよりも愛しいって気持ちが出てくる。
「…有咲さん、こっち向いて」
顔をこっちに向けるのを確認してから、周りに見られないように隠して軽く触れるだけのキスをする。
最初のコメントを投稿しよう!