序 予感

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「あ、瑞祥さん」 洗面台の前で髪を乾かしていた玉珠ちゃんが手を止めて顔を上げる。 暖簾から顔を覗かせたのは瑞祥さんだ。膝に手を着いて肩で息をしている。顔が赤い。走ってきたからと言うよりかは、もっと別の理由がありそうな顔だった。 「お、おう。皆も風呂入ってたのか」 「どうしたんですか? そんなに慌てて」 「な……んでもない」 絶対に何かあった時の間だ。 嘘が付けない性格なのはよく知っている。 後輩二人が一気に怪しむ顔をした。怪しむ顔は企む顔になった。目だけで会話した二人は立ち上がってパタパタと瑞祥さんに駆け寄ると、両サイドからその腕に抱きつききゅるんとした目で見上げる。 「瑞祥さんっ、久しぶりにアレやろうよ!」 「ア…アレって何だよ?」 「アレですよアレ……!」 二人に腕を揺すられうん?と首を捻った。 「アレと言ったら────お泊まり女子会!」
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