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(―――はっ!!)
“会いたい人”と言われた、そのワードに反応する。
それって……あの時山梨さんと一緒にいた、恋のライバルのお姉さんのことだ。
山梨さんの口からあのお姉さんのことを聞くと、胸がぎゅうっとする。
でも……アヤさんは私が乗り越えなきゃいけない相手―――ライバルなんだ。
「……その人って、」
「ん?」
「アヤさん、って方ですか?」
「お、サキちゃんはアヤちゃんのこと知ってるん? 今日入ったばっかりなんちゃうかったっけ」
「はいっ! でもさっき山梨さん、入口で言われてたじゃないですか。『アヤちゃんおらん?』って」
「あー、聞こえてたんや」
山梨さんは笑って小さく頷き、またふうっとタバコの煙を吐いた。
「そうやねん、なかなか会えんでなぁ。いつ出勤か、だいたいわかっとるんやけど」
そう言った山梨さんが、すこし寂しそうな笑顔だから、胸がまたぎゅうっと締めつけられる。
前に見た状況から、アヤさんはほかのイケメンさんも手玉に取っている感じだった。
山梨さんもそのことをわかってる感じだったのに、それでもなお、こうしてわざわざ会いにきてるんだもん。
(あ、アヤさん)
なんて羨ましいっ。
どれだけ羨ましい立場なんですかっ!!
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