エピソード2

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「じ、じゃあ、大阪にはどれくらいいらしゃるんですか?」 「んー、10日ほどちゃうかなぁ。予定は未定やから、帰ってみなわからんけど」 (そんなぁ……!) 10日も山梨さんがいないの!? 山梨さんがいないなら、このクラブでバイトする意味だってないし、言っちゃえばこの東京だって霞んで見えちゃうよ―――。 (どうしよう、じゃあ、次またいつ会えるかわからないのかな) ほぼ毎日出勤していたら、いつかは会える気もするけど、でも。 (山梨さんの目当ては、アヤさんなんだ) そうなると、出勤したって山梨さんが私を指名してくれるかはわからない。 せっかく会えたのに、遠くから見るだけは嫌……! 「や、山梨さんっ」 「ん?」 「山梨さんの連絡先、教えてもらえませんかっ?」 頭の中を巡らせ、思いついたのはこれだった。 そうだ、これしかない! 連絡先だけはゲットしたい! 「えっ?」 私のお願いに、山梨さんは大きく目を開いた。 (えっ!?) えっ、って、びっくりされたことにビックリですがっ。 アヤさんには連絡先渡してたじゃないですかっ。 アヤさんはよくて、私はだめ、ってことですかっ!?
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