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自身の髪をくるりと指に巻き付けた彼女が、口をとがらせて短い理由を話していく。
「髪が長いとケアも面倒でしょ? 営業は見た目にも気を使えって言われるし、じゃあ短ければラクかもなって思って、ずっとこの長さ」
「な、るほど」
「そうだ、聞いてよ! そろそろ主任にさせられそうなの! 最悪だよぉ……永遠に平がいいのに……」
「いや、宵さんが平のポストにいて昇進してない方が不思議なんすよ」
めんどくさがりなのは以前から承知してたけど、ここまでくると私生活も心配になるな。
昇進も彼女の仕事ぶりからして当然だし、今まで平でいたことが驚きなのに、本人は相当嫌らしく豪快にレモンサワーを飲んで「うー!」と可愛く唸ってる。
あれ? 宵さんお酒強いっけ?
「あ! 暁くんの髪型は、センター分け? って言うんだっけ? 似合っててかっこいいよねぇ」
「かっこいいってことは、タイプってことっすか?」
「んー? んー……」
思い出せば、歓迎会やら送別会やら、よくある飲み会で宵さんはちびちびとしか酒を飲んでいなかった。
必ず一次会で帰っていたし、多分弱い。
てことは、攻め時。
「宵さん、口開けて。あーん」
「あむ」
「はは、なにこれ可愛い」
「お豆腐おいしい」
「食べるのも面倒なら、全部俺がしてあげますよ」
「やった〜……」
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