始まり

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街の郊外にある、閑静な住宅街に佇む日本家屋 周りは洋風な建物ばかりのせいか、そこだけ異彩を放っている。 表の門構えに書かれている、堂本組 私がこれから訪れる場所だ。 裏口から入り、建物にしては小さい玄関で靴を脱ぎ揃える。 この裏口から入る人は滅多にいないため、組の人と会うことはない。 中に入り、長い廊下を歩いていると 『(つばさ)さん、お久しぶりです。変わりないですか。』 爽やかな笑顔で話しかけてきたのは、(まこと)さん。 ナチュラルブラウンにニュアンスパーマ 微笑む顔はどれだけ女性を堕としてきたのだろうかという容貌 裏よりホストに向いてるんじゃない?と言いたくなってしまう。 絶対言わないけど 「誠さん、お久しぶりです。それなりに元気にやってます。」 『そうですか。若ならいつもの部屋にいますよ』 「ありがとうございます。」 続く廊下を歩いていれば、左側には庭園が広がる。 枯山水がこの緊張感漂う空気感を浄化してくれる。 昔、白砂に描かれている模様をぐちゃぐちゃにして組長に拳骨くらったっけ 懐かしいな もうあの頃の純粋な気持ちはどこかに置いてきちゃったな 過去に浸りながら、廊下の最奥を目指す。
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