始まり

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視線を合わせるように腰を落とし、私の頬を両手で包む。 『俺はいつまでもお前の味方だ、それを忘れるな。いいな?』 「うん、ありがとう。(かなめ)」 『さ、真面目な話は終わりだ。お前今日晩飯食ってくだろ?』 「いいの?」 『遠慮なんかするな、誠も喜ぶ。』 要に着いて行き、また庭園が見える長い廊下を歩く。 「要」 『んー?』 「明後日、一緒に行きたい」 『当たり前だ。アイツの好きなもん買ってこうぜ』 「みたらし団子買って行こう」 『はは、ほんとアイツ好きだったよな』 1年に1回訪れるその日は、1人では決して乗り越えられない。 忘れてはいけない日。 夏特有の、湿度を含んだ生暖かい風が頬を撫でる。 今年もこの日が訪れようとしている。 『翼、ぼーっとしてんな置いてくぞ』 「うん」 いつのまにか歩みを止めて過去に行ってたみたいだ。 小走りで前の広い背中を追う。
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