1人が本棚に入れています
本棚に追加
Book collector
俺の名は、読解誠。
昔から本を読むのが大好きだ。本、と言ってもやっぱり定番は小説で⋯⋯1ページ事にストーリーの展開が変化していくのが読んでいて心躍るし、面白いのだ。
たとえば、とても仲の良かった親友同士が些細な言い合いで絶縁になってしまったり⋯⋯ダンジョンでモンスターにやられそうになって、もうダメだと思った時に救世主が現れたりする。そういう現実的なものもあるけどこんなの有り得るわけが無い非現実的なところが、何よりの見どころなのだ。
俺は主に恋愛系を好んで読むのだが、青春ものを見ているとつい高校生活を思い出す──そう三年間の中で唯一親しくなったのが濱名真鈴。今は何処にいるのか分からないけれど、当時はロングのストレートヘアが特徴的で、同じ図書委員だった。彼女も本好きということもあって、話がとても弾んでいた。その中で家には、何十冊もの小説が集められていると教えてくれた。
想像するだけで羨ましいという感情を持ってしまうほどだった。いつしか、彼女のように本棚を買って集めるようにまでなっていたのだ。自室に溜まっていく数々の種類の本を見ながら、やっとここまで集められた⋯⋯と優越感に浸る事を我ながら楽しんでいたなぁと今振り返ると思う。
そして今は、ライターをしながら世界中の興味深い本をコレクターのごとく集めて回っている。仕事柄、基本一人で活動していたのだが⋯⋯ついに仲間が出来たのだ。名は、ヘンリー・アデル。
フランスを回っていた時、彼女は図書館の副管理者をしていたのだ。俺は情報収集の為に本の一覧を探していた。すると、
「あのー、何かお探しでしょうか⋯⋯?」
見知らぬ日本人の俺に、そう声をかけてくれたのだ。とても日本語が上手で、多くの勉強をしてきたのだなと尊敬していた。
「あ、フランスの珍しい本の一覧を見せてもらいたいんですけど⋯⋯ありますか?」
聞いてみると、彼女は笑顔で「はい!」と答え探すのを手伝ってくれた。そして、成り行きで俺の仕事の話になり世界を回っていることも話をした。
そこで驚きの言葉を耳にしたのだ。
「私、ここを辞めてあなたと世界を回りたいです」
と、真剣な眼差しを向けて言ったのだ。
「でも、仕事は⋯⋯?」
心配になり聞いてみた。するとあっさり、
「大丈夫ですよ!」
と笑顔で言われた。まぁ、大丈夫ならいいや⋯⋯という感じで今は2人で旅をしている。話も面白くて、飽きることの無い毎日。
──こんな日々がずっと続いたらいいなぁ⋯⋯。
これからもずっと、国々の埋もれたままの本を探し、集めていきたいと思っている。
最初のコメントを投稿しよう!