小説家

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清水くんはあたしの小説に何かおかしいことや 矛盾があると指摘してくれる。 物語が意外な展開になると 目をキラキラさせて、わたしの 小説を楽しんでくれた。 それがあたしにとって何よりも嬉しかった。 ……だから、こんな展開になるなんて 想像もしてなかった。 小説ノートが新しいノートに切り替わって ウキウキしながら登校し、 清水くんの席に目を向ける。 「おは……」 いつもならそこにいるはずなのに、 清水くんはいなかった。 もうすぐホームルーム始まっちゃうけど 体調悪いのかな? 「はい、皆さん、席について。 ホームルームを始めます」 担任の橋口先生が教壇に立つと クラスメイトたちはそれぞれ席につく。 「まず、残念なお知らせがあります。 ……清水結希人(ゆきと)くんが 夜野中学校へ転校しました」 え?
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