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「さあちゃん、あんなやつらの言うことなんて聞いちゃ駄目だからね」
でも、アルファである絹香やその友だちは、俺のことを助けてくれたり、庇ってくれたんだ。
両親や祖父母も、オメガであることに劣等感を感じていた俺を慰めてくれた。
そして――。
「光輝、俺の弟を、いじめていいと思ってるわけ?」
「だ、だって、こいつが生意気なことを……」
「言い訳なんか聞きたくない。朔夜に謝れないなら、代わりに俺に謝れよ?」と皮肉なことに、あれだけ俺を蔑ろにしていたアルファの兄が、なんだかんだ言いながらいじめっ子たちから助けてくれたのだ。そのおかげもあって幼稚園の中では、そこそこ快適に過ごせていた。
それでも俺はアルファになることだけを、ずっと夢見ていた。
自分は両親のじつの子供だと胸を張りたい。兄に血のつながった弟だと認められたい。自分をぞんざいに扱う親戚連中を見返したい。
そんなことを四六時中考えながら日々を過ごしていた。
祖母の「流れ星に願い事をすれば、願いが叶う」という言葉を信じ、毎晩寝る前は夜空に向かって祈った。
そうしてゴールデンウイークの初日に転機が訪れたんだ。
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