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そのために叢雲の親戚連中から「化け物」と呼ばれ、のけものにされたのだ。
それでも俺は両親や祖父母から愛され、虐待や育児放棄ネグレクトとは無縁の生活を送っていた。
叢雲の一族は、盆暮れ正月になると九州の本家へ集まることになっていた。
もちろん俺たちも、その時期になると九州の本家へ出向く。何も両親や兄が好き好んで本家へ行ったのではない。行かないとひどい目にあわされるから行かざるを得なかったのだ。
「――真弓、なぜオメガのガキなど生んだ? あんな役立たずのガキが叢雲にいるなんて一族の恥だろう。あんなもの、生まれたときに捨てればよかったものを。なぜ、目をかけたりした? おまえの息子は、もうひとりいるだろう」
「お言葉ですが、おじさま。朔夜も、燈夜も、どちらも私の大切な子供です。長男で、アルファである燈夜だけいればいいというわけではありません。どちらも優劣などつけることはできない可愛い私の息子なんです。オメガで次男であるからという理由だけで、朔夜を捨てることなど、とうていできません」
「なんと愚かな……子供は優秀なものさえ生き残ればいいのだ。能力のない者をいつまでも生かしておくなど合理的でない。生きる価値のない馬鹿に無駄金を使うとは、まさしく愚の骨頂だな」
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