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「明日の四十九日に間に合ってよかった。あの世がどんな場所か想像できないけど、もし暗闇だと菜々美が怖がると思ってね。暗闇で光る石があるって石仲間にきいて、ずっと探していたんだよ。この黒い石、夜見石っていうんだ。水族館の暗がりも怖がるキミだけど、これがあればきっと大丈夫さ」
信吾さんの言葉に、私はハッとした。
思い出した。私はもう、この世に存在しないんだ。
「これを見られたらまた菜々美に注意されるな」
信吾さんの目の前には、石を入れるトレイがあった。トレイの中には、今日拾ってきた石より小さい夜見石が、仕切りを越えてひしめき合っている。
「思うようなサイズの夜見石が見つからなくてさ。夜見石ばかりこんなに集めてしまったよ。時間があれば、この夜見石を指輪に加工したかったんだけど」
綺麗に拭いて黒さが際立った夜見石を手のひらに乗せて、信吾さんはじっと見つめた。
そして、祭壇に向かい、静かにその夜見石を骨壺の中に入れた。
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