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信吾さんが骨壺に蓋をすると、私の目には骨壺が透けて、中の夜見石が見えた。骨壺の中で、石がだんだんと光を帯び、パァッと輝いたと思ったら、私の左薬指に夜見石の指輪がはまっていた。温もりと優しさを感じる光を放っている。
この指輪、信吾さんが想像していたデザインなのかしら? 素敵……。
「俺さ、ガーネットとか綺麗な天然石が見つけられたら、菜々美にサプライズでプレゼントするのが夢だったんだよ。石ころばっかり集めてて、理解できなかっただろ?」
自嘲気味に笑いながら、信吾さんが私の遺影に語りかける。
「こんなに……早く別れがくるなら、菜々美が望む宝石でも……アクセサリーでも何でもプレゼントしておけばよかったなぁ……」
声がかすかに震えているのに気づき、私は信吾さんを見た。彼の顔には、深い後悔と悲しみが浮かんでいた。笑おうとしているその笑顔は、どこかぎこちない。揺らめく瞳から、ひとつ、ふたつと涙がこぼれ落ちる。手で拭っても、涙は頬を伝い続けた。
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