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「・・入らないのか?」
凪の訝しげな視線を背中に感じる。
「・・入る」
ぴったりと付いて来ていた凪と湊は、もちろんと言うかやっぱりと言うか、今夜もこのアパートで寝る気らしい。
今夜も凪は私の髪を乾かしてくれて、また丁寧に軟膏を塗られた。
ギチギチに並べられた真ん中の布団を指名され、「風邪をひくから」と促されてすぐに横になった。
湊とは雑談もそこそこに、また早い時間に「消灯だ」と言われて電気を消された。
それらのことに対して異議申し立ては、当たり前に意味を成さないのでもう諦めた。
ただ数回、この部屋に私のため息が落とされたということはお伝えしておこう。
こうして島での最後の夜は更けていった。
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