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わたしがあまり納得していない表情をしていたのに気づいたのか、赤いピアスの彼はわたしの瞳を捉えた。
「あ、ラヴァって、LAVAね。ちょっと濁る」
「ら、ラヴァ……?」
「そうそう。さすがに本名ではないけど、周りにはそう呼ばれてる」
────LAVA。
脳内で変換された英文字の羅列。
美しい響きだと思っていると、ラヴァはわたしをカウンター席に降ろした。
突然重力が襲ってきて思わずふらついたけれど、ラヴァは即座に支えてくれる。
……どこまでもスマートなひと。
わたしのとなりに腰掛けたラヴァは、千桐さんに向かって言う。
「すみに温かい飲み物出してやって。紅茶でもココアでも何でもいいから」
すげえ冷えてる、とわたしの頬に触れながら目を細める彼。
切れ長の瞳に魅了され、見惚れてしまう。
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