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「お父様!!っ……お母様!」
囂々と高い火が上がるのを見つめながらマリアは大声で叫んだ。
危ないとわかっているのに崖の方へと痛む身体を引きずりながら向かうマリアは両親を呼び続けるが答えるのは火が燃え広がる轟音だけ。
歩けば1分とかからないような距離を這いつくばって進むマリア。
そんな彼女の視線に突如として黒い革張りの1冊の本が目に入った。
その本をマリアは良く知っていた。
父が肌身離さず持ち歩いていたその本がただの本でない事も。
「レオナルド!何をしてるの?!お父様たちを助けなさい!」
「……それは難しい要望ですね」
「そんな答えは求めてないわ、だって貴方は私の執事でしょう!」
そう叫んで、マリアは突然全身を引っ張られるようにして夢の中から目覚めさせられた。
「おはようございます、お嬢様」
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