天国同窓会の幹事くん

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 ――これで、三十人目っと。 『集まりは順調ですね』  天国っていっても大した娯楽もなく暇してるだけだからなぁ。 『これからはもっとこういったイベントを開いたほうがいいかもしれませんね』  神サマにも言っといてよ。……それにしても、さ。 『どうしました?』  訪ねる先々で「お前誰?」って顔されるの、心にクるもんがあるんだけど。 『向こうにしてみれば、何十年も前に短期間一緒だっただけのクラスメイトですからねぇ』  卒業アルバムを持ってきてくれて、助かったよ。 『このためのサポートですから』  さてと、お次はどいつだ? 『このヒトですね』  いたなこんなやつ。どこにいるんだ? 『地獄です』  は? 『地獄です。この方、生前にいろいろやらかしまして』  あー、なるほど。 『仲間はずれもかわいそうなので、一応声をかけておきましょう』  同窓会なんて、来るタイプに思えないけどなぁ。    ◇ 「同窓会? 行く行く、もちろん参加するぜ!」  ずいぶんノリがいいな。 『ここだけ地獄とは思えないほど明るいっすね』 「しっかし、久しぶりだなー。元気してたか?」  元気と言っていいものか。よく俺のこと覚えてたな。 「あんときのクラスメイトの顔はぜんぶ覚えてるぜ」  そりゃすごい。 「……あのころからやり直せたらなぁって考えたの、一度や二度じゃないからな」  何かあったのか? 「こんなとこにいるんだから、なんとなくわかるだろ。本当にオレが参加してもいいのか?」  別にいいんじゃないか? なあ? 『その日だけの特例ですけど』 「オレみたいなやつが天国を見られるなんて、思ってもみなかったぜ」  ――地獄でのお勤めさえ終えれば、お前さんだって天国へ行けるぞ。 「へ?」  これって言っちゃまずかったか? 『あー、ボクも注意し忘れてたので、これも特例ということで』  ありがとな。 「ほ、本当に、オレも天国に行けるのか?」  地獄ってのはそういう場所だからな。 「どうしてそんなこと知ってるんだ?」  俺、元々こっちにいたし。 「はぁ?!」  両親より早く死んじまったからな。二人が亡くなって許してもらうまでは、ずっとここにいたのさ。 「な、なんて言ったらいいのか……」  気にしなくていいよ。もうぜんぶ終わったことだし。 「そ、そうだ。天国ってどんなところなんだ?」  せっかくだから、同窓会までの楽しみにとっておけば? 「そ、そうだな。いやー、待ち遠しいぜ」  休みをとって早めにこっちに来るとかできないのか? 『この方は仕事も真面目にこなしていますので、同窓会の前後に休暇の日程を合わせるなら、特例期間を延長してもらえるようお願いできますが』  そうすればいいじゃないか。 「……んー、遠慮しとくわ」  なぜだ? 「話を聞いたら、オレもオヤジとオフクロにしっかり謝んなきゃって思ってさ。早くそっちに行けるよう頑張ってみるわ」  ほー。 『順調に刑期を終えられるまでは、ご両親もまだギリギリ天国にいらっしゃると思いますよ』  そりゃ何より。 「同窓会にはしっかり顔を出すからな」  楽しみにしてるよ。
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