友達からの誘い

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友達からの誘い

風歌の朝は早い。まだ日の昇っていない四時に起き、軽くストレッチと白湯を飲んだ後、ジャージに着替えてチョビの散歩に出掛ける。 「チョビ、散歩行こっか」 「ワン!」 チョビが大きな声で鳴いた。幸いにも風歌の家と近所はかなり離れている。そのため、鳴き声に家同士が近い都会ほど気を張らなくていい。 「ほ〜ら、リードつけるよ〜!」 体を動かすことがチョビは大好きで、散歩という言葉を聞くと尻尾をブンブン振って忙しなく動く。風歌は苦笑しながらチョビにリードをつけ、まだ真っ暗な道を懐中電灯を持って歩き出すのだった。 小型犬でも一日に最低三十分の散歩が二回必要である。しかし大型犬のチョビは三十分では運動にならないため、二時間は歩かなくてはならない。 「執筆中はずっと座ってるからチョビのおかげでいい運動になるよ〜」 チョビに風歌が話しかけると、チョビは顔を上げてご主人の顔を見る。その顔には楽しそうな笑顔が浮かんでいた。チョビが嬉しそうにしているのを見て、自然と風歌も頰が緩む。
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