恋のキューピッドはワンコでした

家族になろう

現在、日本全国で飼われている犬や猫の数は約1845万頭と推計されている。新しい家族の一員となる犬たちとの出会いはまさに「運命」。

ここにも、そんな運命の出会いをした女性がいた。

高層ビルが立ち並ぶ日本の首都である東京。多くの人が街を行き交い、忙しなく時間が過ぎていく。そんな中、カフェの中で持ち込んだパソコンと睨めっこをしている女性がいた。

髪型は黒いショートカット、服装は白いブラウスに水色のスカート、顔立ちはパッと目を引く美人ではなくどこか幼い印象を与えるものの、笑ったり際にできるえくぼが可愛らしい。

そんな女性の名前は浅葱風歌(あさぎふうか)、職業は小説家である。風歌は気分を変えるために執筆をカフェで行おうと思ったのだが、先程から執筆する手は止まってしまっている。完全に行き詰まってしまった。

（どうしよう……。何も思い付かなくなっちゃったな……）

彼女はテーブルに置かれたココアのカップを手に取り、口に運ぶ。運ばれてきた当初は湯気を立てていたココアは、とっくの昔に冷めてしまっていた。